相続税対策の中でも基本的な対策を行った上で、更にその効果をアップさせるコツ5つです。
以前の記事で、相続税対策についてご紹介させていただきました。
更に、ワンランクアップした、具体的なお話をしていきます。
相続のタイミングや、すでにマンションやアパートを経営している方達が、どのような方法で運営をしているのか?
相続時に税金以外のトラブルに巻き込まれた話をよく耳にすると思います。
あなたがそのような問題にあわない為に、お伝えいたします。
相続時の参考にしていただければと思います。
この記事でわかること
- 土地有効活用の方法
- 相続前にするべき事
- 相続後に揉めない方法
目次
土地を有効活用して借入れなしで賃貸経営
複数の土地を持っている人や広い土地を所有している人は、毎年かかる固定資産税や相続時の相続税を少しでも減らすために、節税対策をしたいと考えていることでしょう。節税対策をしなければ、これらの税負担が非常に重く大変なことになります。
昔は土地価格の上昇が期待できていたため、多額のローンを利用してでもマンションやアパートを建て節税対策をしていました。
もちろん、マンションやアパートを建てることは節税対策になりますが、税負担は少なくなっても毎月のローン返済が必要となるため、しっかりと運用できないと赤字になってしまいます。
そのような状況の中でも、ローン返済や固定資産税、管理費などの費用を支払っていかなくてはなりません。また、定期的な修繕やメンテナンスも必要ですし、築10年〜15年もすれば室内のリフォームも必要です。
家賃に関しても築年数が経つほど安くなっていくのが一般的です。物件が老朽化したり、周辺に新しい物件が建てば空室も目立ってくるでしょう。
支出面に関してあらゆるリスクが高まったとしても、ローン返済額が減ることはありません。なかには、「賃料収入<ローン返済額」となってしまい、貯金を切り崩して返済している人もいるようです。
ローン利用だと、万が一の際に返済が厳しくなるため、借入れをせずにマンションやアパートを購入して運用を考えている人も多いです。
複数ある土地の一部を売却するなどして現金を確保し、借入れなしで物件を購入すれば、余計な手数料負担もありません。そして、思うように入居者が確保できない場合でもローン返済に追われる心配がありません。
複数持っている土地の中から賃貸運用に向かない土地や不要だと感じる土地を手放すことで、固定資産税の負担も減り、借入れなしで収益物件を手に入れられます。
残す土地選びに迷っている場合は、賃貸運用がしやすい土地は売却せずに残しておくといいでしょう。たとえば以下のような土地です。
- バス停が近い
- 再開発エリアに近い
- 近くに工場などがない
- 幼稚園や小学校が近い
- 治安が良く明るい場所
- 最寄り駅まで10分以内
- 住所が人気のエリアなど
- 都市部までのアクセスが良い
- 近くに観光スポットがある場所
- スーパーやコンビニ、商業施設などが近い
少しでも良い立地の土地で賃貸経営をすることで、高い収益性が期待できます。
空き地を活用して賃貸経営をしたいのであれば、条件の悪い土地は売却候補とし、好条件の土地で運用をするようにしましょう。
そうすることで、空室リスクも低くなり、より多くの賃料収入を得ることができます。さらに、土地の売却と減額により固定資産税や相続税の負担を減らすことが可能です。
状況に応じて土地を選び、適していない土地を売却して適した土地で収益を得るなど、有効活用することが大切です。
相続対策は先延ばしせずに早くやっておく
財産を持っている被相続人が亡くなると、配偶者や子どもなどに相続が発生します。相続人は手続きをするわけですが、このタイミングだと節税方法が特例を使うなど限られるため、多額の相続税が必要となる可能性があります。
相続人とすれば、思いもよらないほどの納税額であれば大変驚くことでしょう。
場合によっては、相続税に関する申告や納税が不要になることもあります。もしかすると、被相続人のなかには「あとのことは知らない」と考えていることもあるかもしれませんが、残された家族にとっては非常に重要な問題です。
配偶者や子どもなど相続人のためにも、被相続人は生前にきっちりと相続対策を行う必要があります。
しかし、そんな大事な節税対策ができないことがあります。それは、さまざまな事情で本人の意思確認がとれない場合です。
節税対策に限ったことではありませんが、権利の譲渡や契約、売買など、大切なことをするときには必ず本人の意思確認が必要になります。なぜなら、不正行為等を防ぐためです。
本人が肉体的にも精神的にも健康で意思確認がとれるのであればいいですが、たとえば高齢で認知症になっている場合は本人の意思確認はとれませんし、勝手に節税対策を進めることはできません。
認知症の場合でも家庭裁判所の許可をもらうことで、売却することなどは可能ですが、節税対策を目的とした売却は不可です。
あくまでも財産の保全を目的としたものになります。
このようなケースもあるため、生前の節税対策もできるだけ早いタイミングで行っておく必要があります。「相続に関することはまだ話さない方がいいかな」と、相続人側も気を遣ってしまいますが、早いに越したことはありません。
いつ何が起こるかもわからないからこそ、変に先延ばしせずに、真剣に相続・節税対策について話し合っておきましょう。
相続の段階で揉めないように
相続が原因でこれまで仲が良かった家族関係が崩れることは珍しいことではありません。
「相続があるだけで十分」「相続の額なんてどうでもいい」など、相続に対して特に意見がなかった家族でも、実際、相続を目の当たりにするとまるで人が変わったかのような態度をとるものです。
「なんで俺の取り分はこんなに少ないんだ!」
「他の兄弟と同じなんておかしい!」
「納得いかないから裁判で争ってやる!」
など、家族間で冷静に話すことが難しくなり、裁判沙汰になるケースもあります。
元々、仲が悪かった家族が揉めるのであれば、まだわかりますが、「この家族が揉めるの?」と揉める姿がイメージできない家族が裁判で争ったりすることもあるので驚きです。
相続のことが原因で絶縁状態になったり、最悪の場合は事件に発展するなど、家族全員の人生を狂わせることもあります。
相続で揉めるのは相続財産が多い場合だけではありません。むしろ、相続財産が少ない場合の方が激しく揉めたりしているのです。
というのも、多くの財産がある場合は、手続きの際に専門家が対応を手伝ってくれますので、意外にスムーズに進むものです。専門家は相続に関する法律のことが頭に入っていますし、多くの相続案件をサポートしてノウハウがあるため上手く対処してくれます。
財産が少ない場合は、第三者がおらず家族だけで手続きを進めていくため、どうしてもいろいろな想いがぶつかり合ってしまうのです。
また、相続財産が不動産など分けにくい場合も揉める要因になってしまいます。現金などであれば1円単位まで細かく分けることができるため公平感がありますが、不動産の場合はそこまで細かく分けることは難しいです。
仮に、相続人が3人〜4人など複数人いて、相続財産が空き家や空き地だった場合は売却をして現金化すれば、細かく分けることができます。
まだまだたくさんの事例がありますが、相続の段階になって揉めなくていいように生前のうちに相続に関してしっかりと話し合っておきましょう。
被相続人・相続人全員で話し合い、みんなが納得したかたちで遺言によって事前に遺産配分が指定されていれば、相続の段階で揉めることを回避できます。
遺言書があることで揉めるケースもある
遺言書があれば相続の段階で揉めることを回避することが可能です。ただし、遺言書が原因で相続時に揉めるケースがあることも覚えておきましょう。
「遺言書=揉めない相続」ではないことを理解したうえで、揉めないための準備・配慮をしておかなければなりません。
遺言書が原因で揉める主な理由が、「遺言書を知っていた人に有利な内容であることが多い」ためです。
たとえば、相続時に家族で集まっている際に、被相続人である父と同居していた長男が父親の机から遺言書を出し、家族に遺言書を見せます。その遺言書には「財産はすべて長男である●●に相続させる」と書かれていたらどうでしょう。
「きっと、兄が全財産を得たくて父に書かせたんだ」
「上手いこと言いくるめて父を騙したに違いない」
など、財産を独り占めするために兄が父に書かせたと思うでしょう。
「本当にこれは父が書いたの?」
と、遺言書の信憑性を疑う声も出てくるでしょう。
遺言書が自筆の場合は執筆鑑定をして裁判で争うケースもあります。もし、鑑定の結果、父の字でないとわかれば、遺言書は無効になります。
このように、遺言書があることが原因で揉めることもあります。このような事態を回避するためには、遺言書をつくる際にオープンにしておくことです。
先に紹介したように、被相続人と相続人、また第三者となる専門家を交えて遺言書をつくっておけば、後で揉める可能性は低くなります。
相続人も、事前にどれくらいの財産を受け取れるのか明確に知っていれば、いろいろな準備ができるでしょう。
家族関係があまりよくない場合でも、しっかりと時間をつくり集まって事前に共有しておくことが大事です。
一にも二にも話し合い
これまで紹介したように、相続に関する話し合いや節税対策は、被相続人である人が生きているうちに、早いタイミングで実施しておくことです。
相続のタイミングになって「生きているときに話し合っておけばよかった」「節税についてもっとしっかりとやっておくべきだった」「面倒に思わず事前に話し合っておけば、家族がバラバラになることもなかった」など、後悔しても遅いです。
なかには、「相続は財産を持っている人だけが考えて勝手に決めればいい」と思う人もいるかもしれませんが、相続人である家族全員に関わる大切な問題です。相続が原因で、これまで見たことがないような、家族の表情や態度を知るのは嫌でしょう。
元々、相続について家族や親族でしっかりと話し合いができているのであればいいのですが、できていない場合は節税対策が不十分な可能性がありますし、相続時にこじれる恐れがあります。
しっかりと準備をしておいても揉めることがある相続において、何の準備をしていない場合は揉めることも覚悟して相続時に家族で集まらなければいけません。
揉めるのは、「そのとき知った」「●●は知っていたのに自分は今知った」「思っていたよりも受け取る財産が少ない」「なぜ、この配分なのかわからない」など、大抵の場合「知らない」ことが原因です。
事前に相続について話し合い、内容を決め、全員が理解していれば、知らないことが原因で揉めることを回避できます。
また、関係者全員が内容を理解することで、適切な節税対策をすることができるでしょう。
被相続人も相続人もできるだけ税負担は少なく抑えたいと考えているため、みんなが節税に関する情報収集をしたり、専門家に聞くなどして、より効果的な対策を施すことが可能です。
まだ、相続に関して話し合ったことがない場合は、お盆や年末年始など家族が集まるタイミングを活用して、1回目の話し合いを行いましょう。そうすることで、初めて相続について意識するようになるでしょう。
土地活用プランナーの体験談
不動産物件の購入、そして賃貸物件の運営などは正当な手段として認められている相続税対策です。
ただし不動産の相続は親族間でも非常に揉めることが多いので、できれば遺言書をきちんと用意しておいた方が良いでしょう。
私が見た中でも「この遺言書は本当に父が書いたのか」と遺族が揉めるケースが非常に多くみられました。
またお子さんがいない方が亡くなった場合、相続権の権利は配偶者が一番強力ですが、その他に亡くなった方の兄弟が相続権を有することがあります。
この場合配偶者と兄弟の仲は、もれなく敵のような状態になります。揉め事を起こさずに上手くいった例をほとんど見たことがありません。
もし遺された人間をそのような関係性にしたくないのであれば、きちんと正当な理由を持ってなぜこうしたのかという遺言書を残しておく必要があると思います。
相続税対策のために、工務店などに「アパートを建ててくれ」と言っても、工務店もその土地の権利者が誰なのかがわからないと、勝手にアパートを建てることはできません。
相続税対策に関する作業のしやすさにも大きく影響するので、相続できちんと土地の権利については明確にしておく方が良いでしょう。